〔061〕鷲羽岳 (2,924m) 標高差:574m (黒部五郎小舎より)
富山県富山市有峰(登山口)
黒部五郎小舎〜水晶岳:5時間35分、全行程:10時間25分
縦走2日目
前日は折立登山口より黒部五郎岳に登り、黒部五郎小舎に泊る。今日は通り道の三俣蓮華に登り、鷲羽、水晶を経て、雲ノ平から行水の出来る沢が待っている薬師沢小屋に泊る予定。
黒部五郎子舎の朝食は4時半からでかなり登山者に親切な時間である。 しかし、いつも寝覚めは気分が悪く何も食べられないことが多いので、朝食をお弁当にしてもらったのが、目覚めてみると体調は最高で腹が減ってしょうがない。
御代わり自由の御飯と味噌汁を食いてー! 自分の判断で元気一杯の先輩に悪いことをしてしまった。
登山開始
みんなが朝食を食べる音を聞きながら4時50分に小舎を出発する。 気温10℃、寒いので上着を来てヘッデンを付けて小舎の裏山を登り始めるが、25分も歩けば暑くて上着を脱ぐことになる。
深田久弥著の「日本百名山」から
黒岳からの眺めは全くそれを経っている。(略)俗塵を払った仙境に住む高士のおもかげをこの山は
持っている。 ところが鷲羽岳は(略)元禄十年(1697年)の奥山廻りの記録依頼その名が現われているのである。 当時は鷲ノ羽ヶ岳と言った。
Route Map :黒部五郎小舎を早朝に出発して、三俣蓮花岳、鷲羽岳、水晶岳を登り、薬師沢小屋で宿泊する。
黒部五郎小舎 |
三俣蓮華岳 |
三俣山荘 |
鷲羽岳 |
ワレモ岳 |
水晶小屋 |
水晶岳 |
水晶小屋 |
祖父岳分岐 |
祖父岳 |
雲ノ平山荘 |
薬師沢小屋 |
4:50 |
6:18 |
7:04 |
8:19 |
9:01 |
9:55 |
10:25 |
11:00 |
11:26 |
12:15 |
13:25 |
15:15 |
〔062〕水晶岳 (2,974m) 標高差:624m (黒部五郎小舎より)
〔248〕三俣蓮華岳 (2,841m) 標高差:491m (黒部五郎小舎より)
5時18分 ズームであるが、肉眼でも近くに見えた ”笠ヶ岳”。
ここからは ”槍ヶ岳”は見えなかった。
5時25分 登り途中に見た朝日が射して来た ”黒部五郎岳”
ひと山、登り切るとハイマツ帯の稜線に出る。
5時48分、”三俣山荘”を朝早く出発されたハイカーとの
すれ違いが多くなって来る。
1時間02分にて ”三俣分岐”に着く。 ”三俣山荘”へのショートカットコースがあるが、
ここは迷わず ”三俣蓮華岳”に向うが、登りは思ったよりきつかった。
1時間28分にて ”三俣蓮華岳”(2,841m)に着く。
気温10℃の上、風が少しあるので寒い。 展望は最高であった。
”三俣蓮華岳”の山頂からの大展望。 まだ6時過ぎであり不明瞭な景観ではあるが、
登って来た山、これから登る山が全て見ることが出来た。
”三俣蓮華岳”を下山して8分で ”三俣峠”に下り立つ。
三俣峠より ”三俣蓮華岳”を振返り見る。
山容と言い、山頂からの展望と言い、三百名山にしておくには勿体無い山であった。
2時間03分、一山越えると眼下に ”三俣山荘”が見え出した。
山荘の後に聳えるのが ”鷲羽岳”であるが、急登振りが凄い。
写真は逆周りの先輩から貰った物、自分も同じ場所から撮っているが、
早朝の逆光であり下の写真の様に暗くなってしまう。
2時間14分にて ”三俣山荘”に着く。 ここで ”黒部五郎小舎”で作ってもらったお弁当で朝食とし、これからの重労働に備える。
時刻はまだ7時04分である。
登り途中より ”三俣山荘”と ”三俣蓮華岳”を見る。
この天気がいつまで続くやら、ガスが上がって来る前に ”水晶岳”まで行きたい。
今から登る ”鷲羽岳”への直登尾根を見る。
山頂までは凄い高さに見えるが、三俣山荘からは374mの標高差しかない。
どんどん標高を稼いで行くと ”笠ヶ岳”までもが見える様になってきた。
”天気がええと気持ちがええなぁー”と言ったかどうかは
判らないが、そんな雰囲気ではあった。
先輩を先行させると、見る見る間に置いて行かれた。
この登りでアスリートのパワーを見せ付けられる。
”三俣山荘”より1時間を切る56分で ”鷲羽岳”(2,924m)に着く。先輩は俺より5分以上早く着いていたので50分を切っている。
この人、64歳でっせ!、今年、山歩きを始めたところでっせ!
札幌の鉄人と言い、恐るべし団塊の世代である。
山頂直下にある ”鷲羽池”は風で水面が波打っており
逆さ ”槍ヶ岳”を見ることは出来なかった。
”鷲羽岳”の山頂からこれから歩く ”水晶岳”までの縦走尾根を見る。
手前の岩峰が ”ワリモ岳”、その奥に聳えるのは ”水晶岳”になる。
折角、稼いだ標高をここで下山で一気に吐き出す。 ここからの道には
3ヶ所の崩壊帯があり、今は危険箇所は無いが、この先、登山道はいつまで持つのかの感じだった。
遠く ”薬師岳”(2,926m)と手前、祖父岳への展望が広がる。
”鷲羽岳”の山頂で15分休憩して ”水晶岳”に向かう。
4時間11分にて”ワリモ岳”(2,888m)に着く。
実際の山頂は岩峰の上であり、今回は登らなかった。
キレットまで下り ”鷲羽岳”を振返り見る。
”ワレモ岳”から左 ”水晶岳”、右 ”野口五郎岳”に続く尾根縦走路を見る。
今日はガスも上がって来ずに今の所、晴天が続いている。
4時間26分にて ”祖父岳”への分岐である”ワリモ北分岐”に着く。 ここには沢山のザックがデポしてあり、空荷で ”水晶岳”に行っているものと思われる。
分岐より見た ”祖父岳”(2,825m)と縦走路。 遠くに ”薬師岳”が見えている。
”水晶岳”登頂後は、ここから ”雲ノ平”まで行く予定。
山頂直下に近付くと登山道は急峻な崖を横切る様になり、
すれ違いも困難な道となる。 これが面白い。
”水晶岳”までの穏やかな尾根道を進む。
山頂には数名のハイカーが小さく見えていた。
下山時、山腹にへばり付く様に建っている ”水晶小屋”を見る。
収容人数20名の小さな小屋であるが、朝日、夕日の眺めは素晴らしいものと思う。
(小屋建替後の収容人数は30名になっていた。)
10時27分、5時間35分にて ”水晶岳”(2,974m)に着く。
山頂の標柱は読めなくなっていたが ”水晶岳”には間違いなさそうだ。
7時間25分にて ”祖父岳”(2,825m)の山頂に着く。
山頂は平で広々としており火山性の石がゴロゴロしていた。
ここからもアルプスの多くの山々が展望出来たが、
ガスが徐々に下りて来た。
”祖父岳”への登り途中から見た ”鷲羽岳”。 ここから見れば”鷲が羽を広げた様な山容”もうなずける。
谷筋には岩苔乗越から三俣小屋へのショートカット路があるが、登り返しがきつそうではある。
ガレ場を下り終えると遠回りの長い木道を通り、キャンプ場の
入口に着く。 キャンプ場からの道を突っ切れば近道であるが、
現在は通行禁止となっていた。
”祖父岳”からは小さく ”雲ノ平山荘”とそこに伸びる登山道も
良く見えた。 遠くには ”薬師岳”がどっしりと聳えていた。
雲ノ平に伸びる木道を通り雲ノ平山荘に向う。
周辺はスイス庭園、日本庭園とかの名前が付けられているが、
だだの広い草原であり、期待し過ぎであった。
8時間25分にて ”雲ノ平山荘”に着く。
ここで昼飯を取る為、10分程休憩する。
黒部五郎小舎 ⇒ 三俣蓮華岳 1時間28分
三俣山荘 ⇒ 鷲羽岳 56分
鷲羽岳 ⇒ ワリモ岳 21分
ワリモ北分岐 ⇒ 水晶小屋 39分
水晶小屋 ⇒ 水晶岳 30分
水晶岳 ⇒ 水晶小屋 25分
水晶小屋 ⇒ ワリモ北分岐 ⇒ 岩苔乗越 ⇒ 祖父岳 1時間15分 Map
祖父岳 ⇒ 雲ノ平山荘 1時間00分
”薬師岳”を背景にシラビソが直林する風景は、
”雲ノ平”で一番景観が良かった。
”奥日本庭園”と書かれている。 ”雲ノ平”は北アルプスの秘境と
言われており、過大なる期待で来たせいか、がっかりの連続であった。
”雲ノ平”を抜けて激下りの登山道に入って行く。
ほとんど傾斜のない木道が終わると、薬師沢に向けて激下りとなる。
陽の当らない樹林帯の道は大きな石がゴロゴロしており、石に苔が
乗り滑り易い。 ここを登りにしなかったのが良かった!の感想である。
10時間25分間を歩き通し、黒部川に掛かる吊橋を対岸に渡ると今日の宿である ”薬師沢小屋”に着く。 迎えてくれたのはオーバーユースからのトイレの悪臭であった。
この悪臭の中で夕食が喰えるのか?
沢音が段々大きく聞こえて来る様になり、標高差約500mの激下りを1時間にて終えて
”黒部川”に降り立つ。 前方に ”薬師沢小屋”が見え、沢沿いに少し歩くと吊り橋があった。
薬師沢小屋(標高:1,912m)
水晶小屋と同じく、よくぞこんな所に建てたな!と思う谷間に建っている。 宿泊を申し込むと、クソ愛想の悪いおっさんが対応してくれた。
ぶすーとしていて、聞いたことにも不十分な返答しか返ってこない。 収容人数は?一泊二食の料金は8400円。 二段ベットの部屋は悪くなく、今日は結構空いていた。
楽しみにしていた行水
薬師沢小屋に宿泊したかったのは黒部川で行水が出来るからである。 小屋から見えない沢に入り、スッポンポンになって沢に入るが、あまりにも冷たいので体を付けることが出来なかった。
タオルで体を拭いて終わるが、10時間の歩きで掻いた汗を流すことが出来て清々しい気分にはなれた。
夕食〜就寝
黒部五郎小舎より高い料金なのに夕食は朝飯かと思うほど貧弱だった。 生ビールは無く、1L、1200円の缶ビールがあったが、350mLを小分けに2本呑み、食後にチュウーハイを呑み、寝る前に日本酒を呑む。 兎に角、トイレの悪臭が目に沁みる。 バイオトイレであるが、悪臭が充満しており、部屋にまで入ってくる。過去には北岳山荘でトイレの臭いに負けて日帰りした経験がある。 こんな小屋に泊るのは勘弁して欲しい。
トイレの悪臭で反省したことは
薬師沢小屋に着いたのは15時15分だった。 頭の中には、後2時間歩けば太郎平小屋まで行ける。
後4時間半歩けば折立に帰れるとの考えが過ぎったが、早く下山しても逆周りの先輩と合流出来ないし、ゆっくり行水したい思いから宿泊となってしまった。
しかし、トイレの臭い、夕飯の貧弱さ、沢水の冷たさから、頑張って歩き続ければ良かったと反省しきりであった。
小屋裏の枝沢で行水しようとしたが沢水が冷た過ぎて、行水を
するどころではなかった。 早々に沢水での行水は断念する。
逆回りの先輩と出合う。
北分岐を過ぎたところで太郎平小屋で分かれた先輩と出会う。 薬師沢小屋からの登りがきつかったので、
往復は止めて黒部五郎岳側に周り、逆周りで予定の山を消化すると言う。 合流地点の案は色々出たが、
車のキーを貰って折立で会うことにする。
鷲羽岳
水晶岳
三俣蓮華岳
'06年度の北アルプス縦走
08/24 |
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08/25 |
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08/25 |
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08/25 |
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08/25 |
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08/26 |
黒部五郎岳 |
⇒ |
三俣蓮華岳 |
⇒ |
鷲羽岳 |
⇒ |
水晶岳 |
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⇒ |
祖父岳 |
⇒ |
下山 |
この時間では逆光であるが ”三俣蓮華岳”からは ”槍ヶ岳”を始めとした、
”大キレット”、”奥穂高岳”までが見渡せた。
”三俣山荘”目指してどんどん下って行く。
”鷲羽岳”までは一貫してきつい登りが1時間近く続く。
穏やかなトラバース路から急峻な尾根筋に入って行く。 いい感じの山容だ。
この沢を遡上して行くと ”赤木沢”に出合うらしい。
見える範囲は穏やかな沢で初心者でも沢登りが出来そうな
感じに見えた。 沢登りで遡上して行くハイカーも居た。
吊橋へは垂直の鉄梯子を下りる。
”黒部五郎岳”を背面にして緩やかに登って行く。
ヒマワリの花の様に一方向に行儀良く咲いていた ”ウサギギク”が見られた。
山歩きを趣味にしていても体力的にはスポーツ選手に
敵わないことをつくづく感じた一幕であった。
縦走路の右側は崩壊帯が多いので、充分、気を付ける必要がありそうだ。
”ワレモ岳”は山頂に立てる道がありそうに見える。
”ワリモ岳”に登って行く。
”ワリモ岳”の道はトラバース路として設けられ、
山頂のテッペンへの道は無かった。
5時間05分にて山小屋としてはチッチャナ ”水晶小屋”に着く。
我々のザックはここにデポして ”水晶岳”に向かう。
”水晶小屋”にザックをデポしたので、足取りは軽快になった。
離合出来ない崖道を進むが、幸い対向者とは出合わなかった。
最後の急登をこなす。
”水晶岳”の山頂でも晴れてくれて、360°の大展望が得られた。
”水晶岳”の山頂から ”水晶小屋”側を見ると凄まじい高度感が得られた。
”水晶岳”に登り終えて、”岩苔乗越”の分岐点に
戻って来る。 ここから長い長い下山が始まる。
ちょっとした岩場を超えて行く。
何を指して ”アラスカ庭園なのか判らなかったが、”薬師岳”の借景は見事であった。
2023年11月26日改定